IBDステーション〜炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)の情報サイト

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指定難病における医療費助成制度の
対象について

【監修】横浜市立大学附属市民総合医療センター
炎症性腸疾患(IBD)センター
内科担当部長 国崎玲子 先生

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潰瘍性大腸炎(UC)の場合は中等症以上、クローン病(CD)の場合はIOIBDスコアを用いて2点以上の患者が医療費助成制度の対象ですが、条件によって特例*が設定されています。

潰瘍性大腸炎(UC)の場合は「潰瘍性大腸炎の臨床的重症度」による分類で中等症以上、クローン病(CD)の場合はIOIBDスコアが2点以上の場合に医療費助成の対象となります。

  • *

    軽症(UC)あるいはIOIBD2点未満(CD)の場合でも、高額な医療の長期継続(月ごとの医療費総額が5万円を超える月が年間6回以上 [例えば医療保険の2割負担の場合、医療費の自己負担が1万円を超える月が年間6回以上])が必要な患者さんは特例とされます。

潰瘍性大腸炎(UC)の臨床的重症度による分類

重症 中等症 軽症
1)排便回数 6回以上 重症と軽症との中間 4回以下
2)顕血便 (+++) (+)~(―)
3)発熱 37.5℃以上 37.5℃以上の発熱なし
4)頻脈 90/分以上 90/分以上の頻脈なし
5)貧血 Hb※1 10g/dL以下 Hb 10g/dL 以下の貧血なし
6)赤沈※2
またはCRP※3
30mm/h 以上
3.0mg/dL 以上
正常
正常
  • 重 症: 1)および2)のほか、3)または4)のいずれかを満たし、かつ6項⽬のうち4項⽬以上を満たすもの
  • 中等症:重症と軽症の中間にあたるもの
  • 軽 症:上記の6項目をすべて満たすもの
※1 Hb:ヘモグロビン
※2 赤沈:赤血球沈降速度。赤血球の沈む速度のこと
※3 CRP: C-リアクティブ・プロテイン。体内で炎症や細胞の破壊などが起こると肝臓で生成され血中で増加するタンパク質のこと。

令和5年度 改訂版(令和6年3月31日)潰瘍性大腸炎・クローン病 診断基準・治療指針
〔厚生労働科学研究費補助金 難治性 疾患政策研究事業「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」(久松班) 令和5年度分担研究報告書〕, 4-8, 2024.

クローン病(CD)の重症度分類(IOIBDスコア)

以下の1項目がある場合を1点とし、原則2点以上が医療費助成の対象となります。

1 腹痛
2 1日6回以上の下痢または粘血便
3 肛門部病変
4 瘻孔(炎症で腸管に穴が空き、近くの臓器とつながってしまった状態)
5 その他の合併症(ぶどう膜炎、虹彩炎、口内炎、関節炎、皮膚症状(結節性紅斑、壊疽性膿皮症)、深部静脈血栓症等)
6 腹部腫瘤(腹部を触ったとき、こぶのようなものがある)
7 体重減少
8 38℃以上の発熱
9 腹部圧痛(腹部を押したときに痛みがでる)
10 10g/dL以下のヘモグロビン(貧血)

IOIBD(International Organisation for the study of Inflammatory Bowel Disease)

難病情報センター(https://www.nanbyou.or.jp/)(2024年10月アクセス)