医療関係者や患者さんからのメッセージ
「共に歩む」 ‐サポーターからのワンポイントアドバイス‐
言える?言えない?治療の気になっていること
最初に薬を始めるとき、または今までの薬から違う薬に切り替えるとき、「本当にこの薬でいいのかな?」「なんとなく前の薬をもう少しでも続けたかったんだけど...」「でも、先生が決めてくれたことだから、今こんなこと言ったら迷惑かも」「ちょっと気になることあるけど、まいっか」
など思うことはないですか?
そんな自分の薬の治療について「なんとなく」気になること、声に出せていますか?
治療はあなたの日々の生活の中の一部となるものなので、気なることを日々抱えたままにしておくのではなく、どんな些細なことでも、すでに治療が始まってからでも、ぜひ先生や医療スタッフに話してください。
心配していることや懸念していることなどをお話ししてもらえることで、理解し、納得した上で、治療を進めることができるきっかけになるかもしれません。
病めるときも健やかなるときも!?
病気との付き合い方
潰瘍性大腸炎と診断されたとき、多かれ少なかれこれからの生活や病気との付き合い方などの不安を覚えた方もいると思います。うまく病気と付き合うためには、診断がついて、その病気を理解して、個々の病気との付き合い方によるところがあります。病気との付き合いの中で得た経験をもとに、徐々に自身の病気をコントロールするコツを掴んでいっている方も多くいるのではないでしょうか。
例えば、体調が悪くなるタイミングとしてストレスがきっかけとなることがあります。ストレスの原因となっている仕事や学業などの生活を変えることはできなくても、自分の中でコントロールの仕方や「こんなときは早めに病院に相談しておこう」など、対処方法が見えてくることがあります。ぜひ、サポートしてくれる医療スタッフなども頼りながら、経験を積み重ねることで自分なりのコントロールの仕方を見つけてください。
ご自身のストレス気づいていますか!?
「何とかできているから大丈夫」とおっしゃる患者さんは多いです。ですが、中には気づいていないだけでストレスを抱えている方も少なからずいらっしゃいます。
「おなかが痛くなる...でも検査しても何もない」
「無意識のうちに自然と食生活をコントロールしている」など
よくあることや、長年の習慣として慣れてしまっていること。
そんな何気ない日常の中に、ストレスが埋もれてしまっていて、気づかずに見過ごしてしまっていることがあるかもしれません。
ふとした時に、立ち止まってご自身のこころの状態に目を向けてみるのもいいかもしれません。
「推し活」のすすめ
あれ?最近調子よさそう??という患者さんから、よくよく話を伺ってみると、好きな人ができたと話を聞くことがあります。
身近な相手との恋愛でも、アイドルやキャラクターでも対象は何でもいいと思います。ご自身の「推し」を作ることで、様々な影響が体や心に生まれるかもしれません。
デートやイベントに向けて体調を整えようといった、セルフマネジメントの意識の向上から、生活習慣や体調が整うことにつながる可能性があります。
トイレに滞在、今何分?
トイレの時間を計ったことはありますか?
潰瘍性大腸炎の方は、特に術後にトイレの頻度が多くなり、時間も長くなる傾向にあります。
また、長時間のトイレ滞在に伴って、温水洗浄を頻回に利用してしまう方も多くいらっしゃるようです。
洗浄しすぎることで、皮膚を守ってくれている皮脂膜や常在菌が流されてしまい、皮膚の潤いがなくなり、かゆみやひりつきなど炎症が起こってしまいます。
いつでもトイレに入れる環境にいる場合は、経過時間を見て一旦トイレを出てみるのもいいかもしれません。
温水洗浄便座の水加減
最近は公共のトイレ環境も充実しつつあり、温水洗浄便座も普及しています。
そんななかで、自分に適した水加減なども人それぞれあるのではないでしょうか?特に痔ろうの方は、普通の温水洗浄だと痛いという経験はないでしょうか?
そんな時は、携帯用のお尻洗浄を使うことで、自分で好みの水加減に調節ができます。いろんな商品が発売されているので、お悩みの方はご自身に合ったものを探してみてください。
記録することでの相乗効果
普段から治療に必要となる記録をしてつけていますか?
なかなか続けられないという方も少なからずいらっしゃるかと思います。治療を始めたときや変えたとき、大事なイベントの前後など、節目だけでも記録をつけてみるところから始めてみるのもいいかもしれません。
特に新しい薬剤で治療を始めたときは、記録をつけることで、その治療が自分に合っているもしくは合っていないなど、その影響を記録として目で見ることができます。
もし症状が改善しているようであれば、よくなっていることを感覚だけでなくしっかりプロセスとして実感ができるはずです。
病気と付き合っていくためにも、記録を通して自分の状態をよく知って、セルフケアに繋げていきましょう。
恥ずかしさのその先に
IBDはおしりの問題や性の問題など、プライベートな課題にも密接に関わり、治療を進めるにあたり避けては通れない話です。ですが、特に日本人は性に関して表に出しにくい文化的な環境にあります。
そんな中で、悩んでいる症状について思い切って話すのは勇気がいりますよね?
医師や看護師などの医療スタッフも、配慮しながら患者さんに聞くタイミングをうかがっていることがあります。問題を放置しておくことで、どんどん悪化してしまうことになるからです。
焦る必要はないので、心と体の準備を整えてご自身のタイミングで、ぜひ話しやすい医療スタッフさんに簡単な一言から悩みをお話ししてみてはいかがでしょうか。きっと真剣にあなたの悩みに向き合ってくれます。
学校でカミングアウトする?しない?
学校での病気のカミングアウトどうしていますか?隠しておきたいという人も、既にカミングアウトしているという人もいるのではないでしょうか。
無理に病気について話す必要はないですが、もし話すことで気持ちや状況が楽になるのであれば、話してみると理解やサポートが得られるかもしれません。特に学校の先生など、家族以外の大人に知っておいてもらうことで、何かあった時にフォローしてもらえたり、体育の授業や出席日数など適切なアドバイスやサポートをしてもらえることもあります。
ただ、カミングアウトするにしても、相手との人間関係や、何よりも自分の気持ちとタイミングも大切です。迷ったときは「自分が楽になる」を基準に考えてみるといいかもしれません。その経験がその先の将来にもきっと役立つはずです。
病院でも進路相談!?
受験に向けての準備として、もちろん勉強も大切ですが、何よりも大切なのは基本の体調管理。また、目指す進路によっては勝負の時期も変わってくるので、そこを見据えた勉強と治療と体調管理の計画が重要です。
いつ何が起こるかわからない中でも何も計画をしないよりは、計画をしておくことで色んな状況に対応できる可能性が広がるかもしれません。
もちろん、受験の予定だけではなく、自分の将来の希望する道など、あなただけの大切な日や勝負の日に向けて、ベストな状態でその日を迎えられるように、病院で将来を見据えた治療計画という進路相談をしてみませんか?先生や看護師さんなど、あなたの治療をサポートするスタッフと一緒に計画することで、よりよい日常や将来につながる1歩を共に歩んでいきましょう。
なんか最近調子が...
自分でわかる自分だけのタイミング
定期的な診察以外で、病院に相談や受診をするタイミングってわかりにくいですよね?
病院の先生や看護師さんの立場からも「もっと早く来てくれたらよかったのに...」と、患者さんから話を聞いてみると結構前から調子が悪かったということが多々あるそうです。
調子が悪い時に「まあいつものことだし」と思わずに、立ち止まってその自分の悪い状態に少し目を向けてみてください。
悪い状態と言っても人によって様々で、もちろん良い状態や普段の状態も様々です。そんな普段の状態と比べて、どれくらい便や血便の頻度に変化があったのか、お腹の痛みのレベルを10段階でどれくらい強く痛むのか、そんな自分しか気づけない自分だけのタイミングを見逃さないことが大切です。
- ●医療法人錦秀会 インフュージョン(点滴)クリニック 消化器内科
- ●杏林大学医学部付属病院 消化器内科
- ●北里大学 北里研究所病院 炎症性腸疾患先進治療センター