IBD患者さんに寄り添う社会を目指して
IBD患者さんの声
ボート 安藤 凜々 氏(倶楽部KBC 所属)
プロフィール
中学ボート競技全国三冠、高校でボート部を設立し全国準優勝。2019年12月、ボート競技国民体育大会合宿に参加した際に、下血・過度な疲労感・体重減少・食欲不振・吐き気・めまいなどの症状が現れ、帰宅後受診したところ潰瘍性大腸炎と診断。2021年7月には岐阜県のご当地タレントとして活動し、地域のイベントやメディアに出演するも、同年11月末、潰瘍性大腸炎の症状の悪化のためタレント活動を引退。
Q1. IBDについて、周囲の人や社会に知ってほしいことは?
見た目では分かりませんが、頻繁にトイレに行きたくなることや、長時間立ったままでいると大変なことを知っていただきたいです。
学校の集会、会社の朝礼、電車の移動時間、お店の行列の待ち時間や料理をする時など30分以上立ったままでいると、強い腹痛が起こります。その際は椅子に座る、転がるなどして落ち着かせています。
また、外食後、特に焼肉を食べた後も必ず強い腹痛を感じます。
友人と遊びに行くときや、恋人とのデートでも、長時間立ったままでいられないことや、いつトイレに行きたくなるか分からない不安から、電車には乗れなかったので、基本的に車移動でした。また、トイレがあるスポット選びや、服や食事なども悩むことがありました。
症状が悪化する活動期は、便のコントロールが難しいため白い服装を避けたり、予備の下着を持ち歩いていました。
肌荒れがひどく、ファンデーションができないなどの悩みもありました。
このように日常生活のさまざまな場面で悩みを抱えていることを知ってほしいです。
Q2. IBD患者さんへのメッセージをお願いします。
私は2019年に発症し、合う薬が見つかり寛解状態に至ったのが2024年でした。時間はかかっても諦めなければきっと何とかなりますということをお伝えしたいです。
発症後も、友人やボート競技の指導者には心配をかけないように、1年以上は病気のことを内緒にしていましたが、高校では1時間に5~10回トイレで授業を離れる時があったので素直に「お腹弱いのでトイレ行ってきます」と言っていました(笑)。そのため、クラスメイトや先生方もお腹が弱いことを理解してくださり、トイレに行きやすい席にしてくれていました。
公に病気を報告したのは地元のケーブルテレビの取材でした。病気の悪化でボートの全国大会を辞退せざるを得なくなったことを伝える場面でした。病気のことをカミングアウトした後も友人や指導者たちは変わらず支えてくれました。そのおかげで病気とも上手に付き合っていけています。
難病とされる病気で、心が折れそうになる時もあると思いますが、ひとりで抱え込まず周囲を頼ってください。
Q3. IBD患者さんでアスリートを目指す方に、伝えたいことは?
病気を理由に諦めず、ぜひ活躍してください。
ボート競技は船の上なのでトイレが無く、私の場合はオムツをして競技や練習に臨んでいました。また、ハードなトレーニングと病気による体重減少のため、病院で点滴をうってもらいながらトレーニングをしていました。食事と点滴だけでは賄えないので、病気にはよくないことは分かっていながらもコンビニスイーツやファストフード、お菓子などで体重をキープしていました。
メンタル面では、当時は、弱みを握られてはいけないという気持ちがあり病気を隠すことや、トレーニング前後に病院に行くことが大変でした。選手として見放されてしまうのではないか、病人だから優遇されると思われないかという不安がありましたが、自分が好きなボート競技の日本一を目指す気持ちが私を支えてくれました。
病気は関係なく、ボート競技に励む自分がキラキラしていて大好きです。
もっと輝くためには練習が必要でしたので、トレーニングを続けることができました。
今では、食事を意識したり自分のキャパを見つめ直して治療と選手の両立ができています。
私は不器用な方法で、病気を抱えながら競技に励んでいましたが、長く楽しく続けられる方法を見つけて下さい。
Q4. 「IBDreamめし~コンビニ編~」の開発に寄せて、コンビニでよく食べる食べものや、夢のコンビニ食を教えてください!
私の場合、身体の調子が悪い時は、必ずホットスナックのチキンとカップ焼きそばが食べたくなります。入院している時は、絶食や、潰瘍性大腸炎の患者さん用の食事なので、病院のコンビニに何度も行って、ホットスナックのチキンの匂いを嗅いでいました。入院期間は1ヶ月以上の時もあり、ジュースやお茶も飲んではならなかったので、苦しかったです。
入院中や退院後は、重湯なので味がなくて喉を通りません。当時は、病院のコンビニに売っている子供用のふりかけをかけて食べていました。IBD患者さん向けのふりかけがあると嬉しいなと思います。他には、油で揚げない揚げ物や、豆腐ハンバーグなどを使った身体に優しいお弁当やホットスナックがあると嬉しいです。
Q5.「IBDreamお菓子図鑑」の制作に寄せて、発症後お菓子を食べる際に気にされるポイントや、こんなお菓子があったらいいなというものを教えてください!
発症後は、特にポテトチップスやファストフード、クレープやコンビニのケーキドーナツなどを買って食べる頻度は、週に1回から月に1回程度に減りましたが、ストレスをためるほうが辛いので、現在もお菓子は適度に食べています。チョコレート系のお菓子やたい焼きが特に好きです。ただし、お菓子を食べる時は、トランス脂肪酸や動物性脂肪、人工甘味料はとりすぎないように意識しています。
元々料理が好きで、お菓子も手作りするのですが、シフォンケーキやクッキー、プリンなどの手作りの洋菓子は現在もほぼ毎日食べています。
低脂肪乳のクリーム入りや、お腹が痛くならないお菓子があればいいなと思います。